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イベントのお知らせ

イベント レポート

2023.10.17

第49回~51回コミュニケーションバーInaBarレポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第1火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。   2023.06.06 第49回 『ユニバーサルスタジオジャパン(特にマリオエリア)最新情報をお伝えします!』 スピーカー:永島和弘さん 開催場所:事務局、オンライン   話題提供者は永島和弘(ながしまかずひろ)さん。ユニバーサルスタジオジャパンに行った家族旅行の帰りに、家族で来店して頂きました。   話題は『ユニバーサルスタジオジャパン(特にマリオエリア)最新情報をお伝えします!』とのことで、永島和弘会員ではなく、息子さんの旭陽(あさひ)君がジェスチャーを交え、目を輝かせてプレゼしてくれました。旭陽君は牛乳が大好きとのことで、牛乳でも乾杯しました。今回のInaBarはアットホームな雰囲気の会でした。   2023.07.04 第50回 『生物学の大学教授になりたかった私が照明屋さんになるまで』 スピーカー:中川彩佳 開催場所:事務局、オンライン   第50回のInaBar開店の節目に最近Affiliate会員(去年まで学生会員1期生)に登録されたばかりの中川彩佳(なかがわ・あやか)さんが話題提供の大役を引き受けてくれました。 話題は『生物学の大学教授になりたかった私が照明屋さんになるまで』照明のことなど何も知らなかった大学生が、どのようにして照明を知り、興味を持ち、照明メーカーに入社したのか、チャットのように自分と出会った良き人々(特に森田教授)、そして、松下美紀さん、節目のやり取りをチャットのように画像付きで話してくれました。 興味>チャンス>実行(努力)で現職に・・・。出会い、チャンスという節目にIALD-Jの学生会員の募集と、Enlighten Asia in […]

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2023.10.17

第46回~48回コミュニケーションバーInaBarレポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第1火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。 2023.02.07 第46回『備えてますか?』 スピーカー:窪田麻里さん 開催場所:事務局、オンライン   窪田さんは“東日本大震災復興支援プロジェクト”や“災害時のあかり”にまつわる活動をしている、ということで、窪田家で4時間のプチ停電状態で暮らしてみた体験談を話して頂きました。 また、リムーバル照明機材のコレクターでもある窪田さん。実機を持ち込んで頂き、それらを見ながら、ワイワイ、ガヤガヤと会話は進み、あっという間に1時間が過ぎてしまいました。ポイントはリムーバル照明機材の使い勝手だけでなく電源確保ですかね・・・。 提供されたワインは東海林会員セレクトの微発泡のフルーティーな『MALI』でした。   2023.03.07 第47回『海外でくらすということ』 スピーカー:田中康一さん 開催場所:事務局、オンライン   田中さんは茨城県鹿嶋市に生まれ育ち、国内もさることながら、ヨーロッパや現在の拠点である香港を含め、過去10ヵ所に住まわれていたようで・・・、 ロンドンではアフリカ系の人達が住むアパートの4階の屋根裏部屋に住まい、家賃は週1万円ぐらい。隣の部屋はかなり体格の良い女子で彼女が動くたびに部屋が揺れ動いた、とか・・・。 また、・・・・・・・・。 そんなエピソードを話してくれました。 […]

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2023.07.19

第1回 IALD Japan ライトトークサロン「調光の未来、光の未来」

「IALD Japan WEBINAR」は「ライトトークサロン」に名称変更され、その第1回が開催されました。 今回のセミナーは2部構成で実施。第1部のテーマは「LED調光の今」、第2部のテーマは「調光の未来、光の未来」です。 モデレーターは田中謙太郎氏(株式会社アンバー)。
パネリストとして、第1部では高橋裕忠氏(PMC株式会社)、中畑隆拓氏(スマートライト株式会社)が、第2部では前出の2名に加えて小堀哲夫氏(株式会社小堀哲夫建築設計事務所)、小玉敦氏(株式会社久米設計)、関根雅文氏(株式会社日建設計)も登壇されました。 第1部で高橋氏はまず「エジソンの白熱電球から始まり、その後約60年ごとに蛍光灯、LEDといった新たな光源が生まれてきた」と光源の歴史を簡単に説明し、光源の発展とともに位相制御やPWM、DALIへと調光技術が進化してきたと解説。またDMXについても触れ「DMXはもともと舞台装置に使われていた技術。今はオフィスや店舗でも使用され、照明や映像、音などをトータルでコーディネートする時代になってきた」とコメントしました。さらに、LEDと他のものがネットワークでつながる「スマート化」にも触れました。この日一番言いたかったこととして「光や動作など、使う人が本当に求めているスマートなものになっているか?」と問いかけました。自分たちの都合で「使えるのはこのメーカーだけとか、海外の製品は使えないとしていたらスマートではないのかなと(笑)。僕らも努力をして、デザインも含めて本当にスマートと思えるものにしていきたい」と語りました。 続いて中畑氏は、照明の制御システムを設計する場合、照明メーカーに対して「御社の照明はAI(人工知能)とつながりますか?」と聞いてほしいと話を切り出しました。アレクサやポケトーク、スマホの顔認識機能を例に挙げ、AIは思っている以上に生活に溶け込んでいると説明。今まで人感センサー、照度センサーで照明を制御していたため「人がいるかいないか」「明るいか暗いか」ということしかわからなかったが、例えばカメラとAIと照明がつながることで、こういう時には問題が起きるから照明をコントロールしようということができるようになってきたと。 また、プロジェクト内で色々な設計を結ぶマスターシステムインテグレーターの役割が今後重要になるとして、照明と様々なものがネットワークでつながることで今までにない価値を生み出していくことができると語りました。 第2部では最初にパネリストが「関わられている現場で調光や照明に苦労されていますか」という質問に答えました。 まず、小堀氏は自身が携わっている舞台や劇場の照明について触れました。「建築の照明は機能照明ですが、舞台の照明は人間を美しく見せるもの。だから舞台照明が圧倒的に優れていると思う」と。その後、田舎の実家で撮られた写真や、趣味で登られたという槍ヶ岳の写真を示し、「光がグラデーショナルに変わっていく様が好き。そんな光がほしい」と語られました。そして、「調光って面倒くさいですが、第1部でネットワークの話を聞いて人間の感覚に馴染む光を作れるんじゃないかと思った」と。 また、日光を大切にして設計をするという小堀氏。ダウンライトはできるだけ付けたくないと話され、あるオフィスを紹介。そのオフィスでは、ダウンライトの代わりに舞台で使う巨大な投光器と動かせるタスクライトを用いたそうです。タスクライトにはコンセントがついているので、チョウチンアンコウに引き寄せられるようにPCを持った人が光に集まるというお話もありました。 小玉氏が最初に紹介したのは、お台場の日本科学未来館です。2001年に最先端の科学を発信しようとして、当時照明器具に使われていなかったLEDを使い、風力発電と連携させたプロジェクト。「ガラスのファサードをいかに美しく見せるかに苦労した」と話されました。モデレーターは「青という出力がいちばん強い色を選び、風を視覚化した事例ですね」とコメント。 次に紹介されたのは、すべて膜天井にしたある本社ビルのオフィス。「昼は自然光、夜は人工光」というテーマでまとめられた事例です。天井が高いことやバッファーゾーン(緩衝エリア)を作ったことで、天井や窓から入るグレア(まぶしさ)があまりないそう。オフィスを使う社員に行ったアンケートでは、「サーカディアンリズム(生体リズム)が整って体調が良い」「朝の光から夕方の赤い色目に色が変わっていくところがとても良い」といったポジティブな反応が多かったと話しました。 関根氏は3つのトピックについて語りました。 1つ目は、日建設計オフィスの2、3階フロアで、リニューアルされた「PYNT」と呼ばれるスペース。外部の方を招いてワークショップなどを行う空間です。ゾーンごとに調光機能を変えたり、照明の位置を変えたりすることができるそう。また、照明の色味が異なる複数のブースのなかからそのときの気分に合ったものを選ぶことができるというジェンダーフリートイレについてもご紹介いただきました。 2つ目は某大学です。アトリウムに面した場所の照明の色を季節や時間帯で変えています。照度が低くても、雰囲気が悪くならないようにされているそうです。また、地下の学習エリアは自然光が入らないため、LEDの色温度の組み合わせで自然光が入ってきているかのように工夫されています。 3つ目は、日建設計が開発した「Asapp」というアプリ。脱炭素を目指すため、一人ひとりの行動改善を促す目的で作られ、アプリをスマホに入れると各個人がある期間に出す二酸化炭素の数値がおおよそわかるそうです。人の位置情報から、オフィスで人が少ない所にいる人には「人の多いフロアに移ったほうが省エネになります」というメッセージが送られ、実際に移るとCO2削減になりポイントがもらえる仕組み。溜まったポイントでオフィス内のカフェでコーヒーが飲めるという取り組みが紹介されました。 最後に「調光の未来、光の未来」に期待する事は?という問いがパネリスト全員に投げかけられました。 中畑氏は「横のつながりを大事にしたい」。高橋氏は「目の前の仕事ではなく、光を使う人を見据えて取り組みたい」。小堀氏は「制御が重要になる一方、自分が光をコントロールできる環境も必要」。小玉氏は「カーボンフリーには制御が力になる。プランナーが計画する時から達成する方向を考えられればいい」。関根氏は「建物の使われ方が変化しても、それにアジャストできる設備設計が重要になる」と、それぞれコメントし、今回のライトトークサロンを終えました。   […]

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2023.03.23

Chase the Dark 2023

2023年3月23日に毎年恒例のIALD国際イベント「Chase the Dark」が行われました。 今年のテーマは ”Shadow Play”。IALD JAPANではコロナ禍中オンラインでのみ開催しておりましたが、今回は五反田の東京デザインセンター内crafTecギャラリーをお借りして、少人数ながら学生さんにも参加いただきリアルとオンラインのハイブリッドにて開催しました。 更に今回は、時差も少ないということからオーストラリアと繋ぐという新しい試みも行いました。 事前にオーストラリアの担当者とコミュニケーションをとったものの、結果は日本、オーストラリアそれぞれがリアルでイベントを行っていて、お互いにコミュニケーションをとることは難しかったと思います。ですが今後も前向きに展開できると感じました。 五反田でのリアルの ”Shadow Play” については、私も含め良い息抜きになり楽しめたのではないかと思います。(永島和弘)               […]

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2022.12.9

第10回IALD Japan Webinar「What is WBS?~WELLってなに?」

WBS(Well Building Standard)は2014年に開発された建築物の空間評価システムです。人間の健康にフォーカスした環境作りが推奨されていることが特徴であり、世界中のオフィスやホテル、商業施設から注目を集めています。WELLとは具体的に何なのか、照明デザイナーとしてWELL認証に寄与するにはどうすればいいのか。これらを紐解いていくことを目的に、WEBINARが開催されました。当日は会場である東京デザインセンタークラフテックギャラリーに聴講希望者を迎え、IALD Japan WEBINAR初のハイブリッド開催となりました。 モデレーターは金田篤士氏(株式会社ワークテクト)と目黒朋美氏(トモルデザイン・メグロ株式会社)です。 まずWELLの10のコンセプト(空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ)、それからLEEDやCASBEEといった他の世界的な建築物認証システムが紹介され、世界のWELL認証を受けたオフィスの紹介PVが流されました。ビデオは、WELL認証を取得したオフィスが紹介され、その経営者がコメントをしているという内容で、金田氏、目黒氏は「現在の日本でここまで環境の良いオフィスは少ないが、今後このような方向性になっていくと予想される」と語られました。 次に参加者に対して、WELL認証を意識したオフィス作りをしているかという問いかけがありました。会場の照明デザイナーの方から、特にWELL認証は意識していないが、オフィスというよりも遊び場という感覚なので、必然的に居心地の良い空間になっているとの回答がありました。同じく会場参加の照明メーカーの方からは、自社のオフィスでは特にWELL認証などは取得していないが、WELL認証を取得したホテルのプロジェクトの照明制御に携わったというお話もいただきました。 Web上のアンケートでは、WELL認証に携わった方が5名、携わったことのない方が22名という結果になりました。 WELL認証を受けた建築物数世界ランキングで、日本は12位でした。アメリカがダントツで1位、中国が3位と意外に多い結果となりました。会場やWebでのアンケートからもわかるように、日本ではWBSはまだ広く普及しているとは言えない状況であり、WELL認証を取得しているプロジェクトの傾向としてはゼネコンや組織設計事務所の自社ビルが多いようです。 WELLの10のコンセプトのうち、「光」は110点中18点を割り当てられており「WELLの中でも照明が占める割合が多い」ことに金田氏が言及しました。18点の中で必須項目、加点項目に分かれており、必須項目が光暴露とビジュアル照明デザイン、加点項目がサーカディアン照明、人工照明グレア制御、昼光シミュレーションなど多岐に渡ります。 更に、LEED、WELLコンサルが使用するというIWBIのリストを目黒氏が公開され、「項目が細かくて驚いた。我々照明デザイナーは、必須項目はもちろん、加点項目を加味してデザインし、WELL認証に貢献していく必要がある」と述べられました。 金田氏は「WELL認証はメーカーの製品ごとではなく、空間や建物に対して認可されるものであり、我々にはWELLに適した製品を選択できるかどうかが問われている」と今後照明デザイナーに求められる役割を示されました。 ここで、会場参加の照明デザイナーから「WELL認証の項目には日本の照明デザイナーであれば当たり前にできている項目が多いのではないだろうか。底辺あげには適しているが日本では普及しづらいように感じる」という指摘がありました。 これに対し金田氏は「ミシュランの星システムのようなもので、オーナーはわかりやすい指標を求めている。そういった要望が増えてきていることを認識していきたい」、会場参加の別の照明デザイナーは「オリンピックのメダルと同じで、わかりやすいメジャメントがあることでプロジェクトとしての目標が明確になる。日本におけるJIS規格の推奨値を駆逐するためにも普及されるべき」とコメント。日本において、WELL認証を普及する必要性について語られました。 次に目黒氏が、加点項目のうち特に注目すべきポイントについてピックアップされました。 まずサーカディアン照明について。これは昼間にかけて4時間昼光を浴びて身体を活性化し、夜間は逆に色温度を下げてメラトニン分泌を促進します。このようにして効率的に入眠しやすいよう、照明や昼光の取り入れ方を工夫することで、サーカディアンを有効活用するというものです。この尺度として、目黒氏は等価メラノピック照度を紹介。これについて金田氏は等価メラノピック照度について調べたところ、カナダと台湾に研究施設があり、施設で実験的に研究されていることを述べられました。 昼光シミュレーションでは、コンピューターシミュレーションでの検証例が紹介されました。実際は東西南北や時間帯によって変化するため、検証例よりも深いことを問われるようです。 次に、目黒氏が個人的に専門家の話を伺いたいという「フリッカーを防ぐにはどうすればよいのか」という項目が紹介されました。 フリッカーはLEDの明滅現象、モアレ現象のことであり、画面の激しい明滅によって体調不良を引き起こすことがあります。国際基準は3kHzですが、日本は100V50〜60Hzと、PWM形式を採用しているため基準が甘くなっているのが現状です。 […]

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2022.12.6

第42回~45回コミュニケーションバーInaBarレポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第一火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。   2022.09.06 第42回『音楽と時代・デザイン・トレンドについて語りませんか・・・』 スピーカー:水馬弘策さん 開催場所:LIGHTDESIGN、LEM空間工房、オンライン   東京はLIGHTDESIGNをサテライトにして、大阪はLEM空間工房に数人ずつ集まって開催しました。 福岡は前日台風だったため、各自オンラインとなりました。   テーマは「音楽と時代・デザイン・トレンドについて語りませんか・・・」ということで、1960年ぐらいからの懐かしい洋楽を聴きながら、同時期はやったサイケデリックなグラフィックスを見ながら・・・。 日本では三波春夫の大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」を聴き、小川ローザの『Oh~モウレツ!』や、アグネスラムの画像を見て・・・、と話題は進み、途中では、水馬さんはウクレレを弾きながら和声転回実演もしてくれました。   後日談として、「音楽の話は好みが大きく影響するので万人ウケは難しいと思いながら、企画に関連する方々は趣味の域を越えた何かを持っているものなので、今回のような展開にしてみました。本当はデザインと音楽のトレンドについて突っ込んで話して,次代を眺めてみよう!!てな流れにしたかったです。」とメールをいただきました。   2022.10.4 第43回『 The Hero’s […]

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2022.08.5

のぞいてみよう!照明デザインvol.4

2022年8月5日に「のぞいてみよう!照明デザインVol.4」と題したWEBINARが開催されました。このWEBINARは照明デザインに興味を持つ学生に向けたイベントで、照明デザイナーの職能や仕事ぶりについて、実際に現場で活躍している照明デザイナーが様々なエピソードを交えて紹介します。   まずマワタリデザイン株式会社の馬渡秀公さんは、照明デザイナーを「都市環境、ランドスケープ、建築物、インテリア、アート、イベントなどを対象とし、建築家や事業主とのコラボレーションで、照明のスキルを駆使して空間作りにかかわるプロフェッショナル」と定義しました。      続いて、株式会社ライティングプランナーズアソシエーツの中村美寿々さん、焔光景デザインの原田武敏さんの2名のパネリストからお話を伺いました。 最初はフランス留学中にパリの夜景の美しさにひかれて照明デザイナーになったという中村さんです。 携わった仕事の実例を挙げながら、現代に求められている照明デザインの役割、長崎市で都市全体の夜景デザインに関わった案件について詳しく教えてくださいました。   現代の都市照明デザインには、環境への配慮の先に「その都市ならではの光、都市の個性を表現する都市照明が求められている」と指摘。 長崎市の実例では、街並みの歴史などを伺いながらの現地調査と並行して夜の光環境の調査を行い、課題を抽出して、遠景と中・近景両方の視点から双方向的に夜間景観の向上に取り組むことを目指されたそうです。 更に、港の地形を生かした「港に流れ込む輝き」、和華蘭文化の町々の個性を表現する「おおらかに彩られたまち」、キリシタンや被爆の歴史を感じさせる「祈りを誘う灯り」という3つのコンセプトを夜間景観の整備にあたり掲げたそうです。 平和公園エリアでは、静けさを邪魔する不快なグレア(まぶしさ)をなくし、適正な照度の計画と、平和を希う光、祈りの感情を呼び起こす光を表現しようと知恵を絞られました。祈念像の照明はできるだけ像の陰影を強く見せないようにするために、一般的な下からライトアップではなく超狭角の光で遠距離から水平方向に照らす手法に変更し、祈念像への道を街の軸線に据えて広場には格子状に光の粒を設置しました。大浦天主堂や祈念坂、鎮西大社 諏訪神社の鳥居、眼鏡橋の照明も、策定した夜間景観マスタープランに沿って改善が行われました。 地域全体を結びつける線・面的な視点、住まう人が心地よく感じられる夜の街並み、観光客が宿泊する動機付けになる実利的側面、自分たちの街の明かりだと誇ることができ、かつ人々に愛される夜景を意識されたとのことです。      次は、日本庭園や寺社仏閣などを、紅葉や桜のシーズンに仮設照明でライトアップされている原田武敏さんです。携わったライトアップの事例を紹介し、ライティングによる空間の見え方の変化、仮設照明で工夫している点について解説してくださいました。 浜離宮恩賜庭園など同じ場所でも季節ごとに異なるライトアップの写真を紹介し、「仮設=光の多様性」として「光によって空間の印象はすっかり変わる」と指摘。旧古河庭園のライトアップを例に、それまでの大型の器具による投光照明ではなく、光量の小さい器具を使い、太陽に向かって咲くバラの花に対して、夜も同じように上からのダウンライティングの光でバラを浮かび上がらせ、背景となる周囲の木々に光を当てて奥行き感を出す―─といった工夫によって、空間が劇的に変化する様子を示されました。 「庭師が丁寧に手入れしている木々の樹形を丁寧に見せたい。同じ石垣でも光の当て方、色、強さが違えば印象が変わる。光の当てかたで、昼間は見えにくいノミの跡が見えたりする」「歴史的な建造物や庭園に自分なりの解釈で光を当てて別の見え方、表情を作り出せるのも仮設照明デザインの楽しみ」と仕事の醍醐味を語られました。   […]

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2022.07.5

第39回~41回 コミュニケーションバー InaBar レポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第一火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。 ※現在は、コロナ禍の影響でオンライン開催が続いております。   2022.04.05 第39回 『みなさん、照明デザインを楽しんでいますか?』 スピーカー:戸恒浩人さん 開催場所:オンライン   コロナ禍で世界を取り巻く環境が変わり、LEDの進化がほぼ終わった感がある昨今、来店された皆さんに色々話を聞きいてみたいとのことで、戸恒さんから4つの質問が提示されました。   1)Webが中心になってしまったコミュニケーション。どのようにコミュケーションを活性化していますか。 2)照明デザインのマンネリ化をどのように解消していますか。 3)コロナ後の照明デザインの活躍の場、照明デザインに期待されることは何だと思いますか。 4)後継者不足解消問題。しっかりフィーを獲得できる業界にならないと後継者は途絶えてしまう。もっとフィーを獲得する為にしなければならない努力は何だと思いますか。   コミュケーションの活性化については、Webをうまく活用している会員、得意でない会員の意見もありました。Webでのプレゼンは言葉が重要という話が出ました。 4つ質問が提示されたものの、話題はいろいろなところに飛び最後は惜しくも時間切れとなり、すべての質問まで議論できずに終わりとなってしまいました。来店者からはもっと話したいという意見が出ていましたので、戸恒さんに改めてInabarにお越し頂き続きを開催したいと思っています。その際は今回来店されなかった人、是非来店頂き議論しましょう。続きは機会を見てご案内します。 InaBar店主:稲葉裕   […]

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2022.06.17

第9回 IALD Japan Webinar 「舞台・建築、同じ照明だけど、どこが同じでどこが違う?」

舞台照明と建築照明はともに光を扱う仕事ですが、どのような共通点、相違点があるのでしょうか。2022年6月17日のWEBINARは、その答えを見つけるべく開催されました。モデレーターは山下裕子氏(Y2 LIGHTING DESIGN)と馬場美次氏(馬場美次デザイン室)。ゲストは舞台照明を主に手がけている伊東啓一氏(エム・ジー・エス)、柳瀬敏実氏(東京舞台照明ホールディングス)のお二人です。 モデレーターが自身とゲストについて簡単な紹介を行った後、伊東氏と柳瀬氏に、それぞれの事例について解説していただきました。 伊東氏が率いる株式会社エム・ジー・エスは、コンサートやファッションショー、美術展、イベントなどの照明オペレーションから建築物のライトアップまで、幅広い光のデザインや照明シーンを創り続けています。 代々木第二体育館で行われたYOHJI YAMAMOTOのファッションショーでは、仮設照明としてピンスポットを20台だけ使用し、シーンごとに手動で色を変えて全体的な照明効果を生み出しました。 東京都現代美術館で開催された石岡瑛子氏の展覧会では、入り口付近を深みのある赤色で染め上げた様子や、三島由紀夫の「金閣寺」の映画に登場する、真っ二つに割れた金閣寺を再現したセットにハレーションライトを当てて輝かせた事例が紹介されました。石岡瑛子氏デザインの衣装を纏ったパフォーマーの映像が壁面に大きく投影された空間では、その映像と同じ衣装を纏ったトルソーも一緒に展示されており、映像の光量とトルソーを照らす配光が絶妙なバランスに保たれることで「トルソーが映像から出てきた」と感じられるライティングを実現するなど、デリケートな照明技法が見られました。 「野村家三代狂言」では、東大寺そのものを舞台背景としてライトアップ。堂々たるライトアップシーンから、環境の暗闇を活用してシューティングポイントを狭くすることで東大寺を小さく見せるシーン、さらにピンクやイエローの光を用いた華やかなシーンなど、多彩な光景が生み出されていました。 柳瀬氏が率いる株式会社東京舞台照明ホールディングスは、日本の舞台照明のルーツのひとつであり、演劇やコンサート、展示会やテーマパークなどの照明に加えて、器材の販売やレンタルも行っています。 柳瀬氏はまず、オペラとコンサートの事例を紹介してくださいました。オペラでは舞台前のフットライトとLEDスポットをメインに、ムービングライトを1台用いて、シーンに沿った空間を創出していました。事例として紹介されたコンサートでは、ステージ上の円形パネルの背景セットに、楽曲に合わせて地球や月を投影。映像は照明側で用意し、球体に見えるようにテクニックを駆使するなど、さまざまな技法でステージライティング全体をコントロールしたそうです。 フィギュアスケートのショーでは、器材の湿気対策や、短時間で各スケーターの動きを把握して演出を組み上げなければならない等、特殊な環境下で行われる舞台照明の事例をご紹介いただきました。 大規模なスタジアムでの事例も。東京ドームで開催されるイベントは舞台・セットともに極めて大きいため、仮設照明に相当量の仕込みを必要とし、多くのポジション(演出、ステージ、音響、運営 etc…)の調整が必要となります。2013年の国体の開会式・閉会式でも、350台ものムービングをすべて有線で仕込み、調光卓も2卓用いて制御したそうです。 また、建築照明寄りの事例として、熱海にあるMOA美術館のエスカレーターのライトアップや、イベントと連動した名古屋のテレビ塔ライトアップ、武道館ライトアップの内容も紹介されました。 その後はディスカッションに移り、舞台照明と建築照明の違いを改めて議論しましたが、つまるところ、どの照明でも「常設か仮設かで大きな違いが生じる」という話に。 照明を仮設で設置することが多い舞台照明では、置きたい場所に器材を設置し、自由に変更できるなど、制約が少ないことが特徴です。一方、照明器具を常設することが多い建築照明は、設計後は変更が難しく、動線上に設置できない、耐久性を求められるなど、あらゆる要素を考慮しなければなりません。 光で感動を生み出すという点では同じですが、舞台での感動は短時間で強烈に与えられるものであり、建築照明がもたらす空間体験の感動は何年もじわりと続いていくもの、という違いがあります。 理想とする光を創り上げるまでのプロセスに異なる部分が多々あり、馬場氏からは「極端に言えば“対象物に光を当てる”以外の共通点はないのでは?」というコメントもありました。 しかし近年、サッカースタジアムにてピッチを照らすスタジアム照明が水銀灯からLED照明に変わり、音楽に合わせてテンポ良く明滅する演出が可能になるなど、舞台照明と建築照明の融合を感じる瞬間も増えてきました。 […]

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