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イベントのお知らせ

イベント レポート

2023.03.23

Chase the Dark 2023

2023年3月23日に毎年恒例のIALD国際イベント「Chase the Dark」が行われました。 今年のテーマは ”Shadow Play”。IALD JAPANではコロナ禍中オンラインでのみ開催しておりましたが、今回は五反田の東京デザインセンター内crafTecギャラリーをお借りして、少人数ながら学生さんにも参加いただきリアルとオンラインのハイブリッドにて開催しました。 更に今回は、時差も少ないということからオーストラリアと繋ぐという新しい試みも行いました。 事前にオーストラリアの担当者とコミュニケーションをとったものの、結果は日本、オーストラリアそれぞれがリアルでイベントを行っていて、お互いにコミュニケーションをとることは難しかったと思います。ですが今後も前向きに展開できると感じました。 五反田でのリアルの ”Shadow Play” については、私も含め良い息抜きになり楽しめたのではないかと思います。(永島和弘)               […]

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2022.12.9

第10回IALD Japan Webinar「What is WBS?~WELLってなに?」

WBS(Well Building Standard)は2014年に開発された建築物の空間評価システムです。人間の健康にフォーカスした環境作りが推奨されていることが特徴であり、世界中のオフィスやホテル、商業施設から注目を集めています。WELLとは具体的に何なのか、照明デザイナーとしてWELL認証に寄与するにはどうすればいいのか。これらを紐解いていくことを目的に、WEBINARが開催されました。当日は会場である東京デザインセンタークラフテックギャラリーに聴講希望者を迎え、IALD Japan WEBINAR初のハイブリッド開催となりました。 モデレーターは金田篤士氏(株式会社ワークテクト)と目黒朋美氏(トモルデザイン・メグロ株式会社)です。 まずWELLの10のコンセプト(空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ)、それからLEEDやCASBEEといった他の世界的な建築物認証システムが紹介され、世界のWELL認証を受けたオフィスの紹介PVが流されました。ビデオは、WELL認証を取得したオフィスが紹介され、その経営者がコメントをしているという内容で、金田氏、目黒氏は「現在の日本でここまで環境の良いオフィスは少ないが、今後このような方向性になっていくと予想される」と語られました。 次に参加者に対して、WELL認証を意識したオフィス作りをしているかという問いかけがありました。会場の照明デザイナーの方から、特にWELL認証は意識していないが、オフィスというよりも遊び場という感覚なので、必然的に居心地の良い空間になっているとの回答がありました。同じく会場参加の照明メーカーの方からは、自社のオフィスでは特にWELL認証などは取得していないが、WELL認証を取得したホテルのプロジェクトの照明制御に携わったというお話もいただきました。 Web上のアンケートでは、WELL認証に携わった方が5名、携わったことのない方が22名という結果になりました。 WELL認証を受けた建築物数世界ランキングで、日本は12位でした。アメリカがダントツで1位、中国が3位と意外に多い結果となりました。会場やWebでのアンケートからもわかるように、日本ではWBSはまだ広く普及しているとは言えない状況であり、WELL認証を取得しているプロジェクトの傾向としてはゼネコンや組織設計事務所の自社ビルが多いようです。 WELLの10のコンセプトのうち、「光」は110点中18点を割り当てられており「WELLの中でも照明が占める割合が多い」ことに金田氏が言及しました。18点の中で必須項目、加点項目に分かれており、必須項目が光暴露とビジュアル照明デザイン、加点項目がサーカディアン照明、人工照明グレア制御、昼光シミュレーションなど多岐に渡ります。 更に、LEED、WELLコンサルが使用するというIWBIのリストを目黒氏が公開され、「項目が細かくて驚いた。我々照明デザイナーは、必須項目はもちろん、加点項目を加味してデザインし、WELL認証に貢献していく必要がある」と述べられました。 金田氏は「WELL認証はメーカーの製品ごとではなく、空間や建物に対して認可されるものであり、我々にはWELLに適した製品を選択できるかどうかが問われている」と今後照明デザイナーに求められる役割を示されました。 ここで、会場参加の照明デザイナーから「WELL認証の項目には日本の照明デザイナーであれば当たり前にできている項目が多いのではないだろうか。底辺あげには適しているが日本では普及しづらいように感じる」という指摘がありました。 これに対し金田氏は「ミシュランの星システムのようなもので、オーナーはわかりやすい指標を求めている。そういった要望が増えてきていることを認識していきたい」、会場参加の別の照明デザイナーは「オリンピックのメダルと同じで、わかりやすいメジャメントがあることでプロジェクトとしての目標が明確になる。日本におけるJIS規格の推奨値を駆逐するためにも普及されるべき」とコメント。日本において、WELL認証を普及する必要性について語られました。 次に目黒氏が、加点項目のうち特に注目すべきポイントについてピックアップされました。 まずサーカディアン照明について。これは昼間にかけて4時間昼光を浴びて身体を活性化し、夜間は逆に色温度を下げてメラトニン分泌を促進します。このようにして効率的に入眠しやすいよう、照明や昼光の取り入れ方を工夫することで、サーカディアンを有効活用するというものです。この尺度として、目黒氏は等価メラノピック照度を紹介。これについて金田氏は等価メラノピック照度について調べたところ、カナダと台湾に研究施設があり、施設で実験的に研究されていることを述べられました。 昼光シミュレーションでは、コンピューターシミュレーションでの検証例が紹介されました。実際は東西南北や時間帯によって変化するため、検証例よりも深いことを問われるようです。 次に、目黒氏が個人的に専門家の話を伺いたいという「フリッカーを防ぐにはどうすればよいのか」という項目が紹介されました。 フリッカーはLEDの明滅現象、モアレ現象のことであり、画面の激しい明滅によって体調不良を引き起こすことがあります。国際基準は3kHzですが、日本は100V50〜60Hzと、PWM形式を採用しているため基準が甘くなっているのが現状です。 […]

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2022.12.6

第42回~45回コミュニケーションバーInaBarレポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第一火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。   2022.09.06 第42回『音楽と時代・デザイン・トレンドについて語りませんか・・・』 スピーカー:水馬弘策さん 開催場所:LIGHTDESIGN、LEM空間工房、オンライン   東京はLIGHTDESIGNをサテライトにして、大阪はLEM空間工房に数人ずつ集まって開催しました。 福岡は前日台風だったため、各自オンラインとなりました。   テーマは「音楽と時代・デザイン・トレンドについて語りませんか・・・」ということで、1960年ぐらいからの懐かしい洋楽を聴きながら、同時期はやったサイケデリックなグラフィックスを見ながら・・・。 日本では三波春夫の大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」を聴き、小川ローザの『Oh~モウレツ!』や、アグネスラムの画像を見て・・・、と話題は進み、途中では、水馬さんはウクレレを弾きながら和声転回実演もしてくれました。   後日談として、「音楽の話は好みが大きく影響するので万人ウケは難しいと思いながら、企画に関連する方々は趣味の域を越えた何かを持っているものなので、今回のような展開にしてみました。本当はデザインと音楽のトレンドについて突っ込んで話して,次代を眺めてみよう!!てな流れにしたかったです。」とメールをいただきました。   2022.10.4 第43回『 The Hero’s […]

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2022.08.5

のぞいてみよう!照明デザインvol.4

2022年8月5日に「のぞいてみよう!照明デザインVol.4」と題したWEBINARが開催されました。このWEBINARは照明デザインに興味を持つ学生に向けたイベントで、照明デザイナーの職能や仕事ぶりについて、実際に現場で活躍している照明デザイナーが様々なエピソードを交えて紹介します。   まずマワタリデザイン株式会社の馬渡秀公さんは、照明デザイナーを「都市環境、ランドスケープ、建築物、インテリア、アート、イベントなどを対象とし、建築家や事業主とのコラボレーションで、照明のスキルを駆使して空間作りにかかわるプロフェッショナル」と定義しました。      続いて、株式会社ライティングプランナーズアソシエーツの中村美寿々さん、焔光景デザインの原田武敏さんの2名のパネリストからお話を伺いました。 最初はフランス留学中にパリの夜景の美しさにひかれて照明デザイナーになったという中村さんです。 携わった仕事の実例を挙げながら、現代に求められている照明デザインの役割、長崎市で都市全体の夜景デザインに関わった案件について詳しく教えてくださいました。   現代の都市照明デザインには、環境への配慮の先に「その都市ならではの光、都市の個性を表現する都市照明が求められている」と指摘。 長崎市の実例では、街並みの歴史などを伺いながらの現地調査と並行して夜の光環境の調査を行い、課題を抽出して、遠景と中・近景両方の視点から双方向的に夜間景観の向上に取り組むことを目指されたそうです。 更に、港の地形を生かした「港に流れ込む輝き」、和華蘭文化の町々の個性を表現する「おおらかに彩られたまち」、キリシタンや被爆の歴史を感じさせる「祈りを誘う灯り」という3つのコンセプトを夜間景観の整備にあたり掲げたそうです。 平和公園エリアでは、静けさを邪魔する不快なグレア(まぶしさ)をなくし、適正な照度の計画と、平和を希う光、祈りの感情を呼び起こす光を表現しようと知恵を絞られました。祈念像の照明はできるだけ像の陰影を強く見せないようにするために、一般的な下からライトアップではなく超狭角の光で遠距離から水平方向に照らす手法に変更し、祈念像への道を街の軸線に据えて広場には格子状に光の粒を設置しました。大浦天主堂や祈念坂、鎮西大社 諏訪神社の鳥居、眼鏡橋の照明も、策定した夜間景観マスタープランに沿って改善が行われました。 地域全体を結びつける線・面的な視点、住まう人が心地よく感じられる夜の街並み、観光客が宿泊する動機付けになる実利的側面、自分たちの街の明かりだと誇ることができ、かつ人々に愛される夜景を意識されたとのことです。      次は、日本庭園や寺社仏閣などを、紅葉や桜のシーズンに仮設照明でライトアップされている原田武敏さんです。携わったライトアップの事例を紹介し、ライティングによる空間の見え方の変化、仮設照明で工夫している点について解説してくださいました。 浜離宮恩賜庭園など同じ場所でも季節ごとに異なるライトアップの写真を紹介し、「仮設=光の多様性」として「光によって空間の印象はすっかり変わる」と指摘。旧古河庭園のライトアップを例に、それまでの大型の器具による投光照明ではなく、光量の小さい器具を使い、太陽に向かって咲くバラの花に対して、夜も同じように上からのダウンライティングの光でバラを浮かび上がらせ、背景となる周囲の木々に光を当てて奥行き感を出す―─といった工夫によって、空間が劇的に変化する様子を示されました。 「庭師が丁寧に手入れしている木々の樹形を丁寧に見せたい。同じ石垣でも光の当て方、色、強さが違えば印象が変わる。光の当てかたで、昼間は見えにくいノミの跡が見えたりする」「歴史的な建造物や庭園に自分なりの解釈で光を当てて別の見え方、表情を作り出せるのも仮設照明デザインの楽しみ」と仕事の醍醐味を語られました。   […]

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2022.07.5

第39回~41回 コミュニケーションバー InaBar レポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第一火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。 ※現在は、コロナ禍の影響でオンライン開催が続いております。   2022.04.05 第39回 『みなさん、照明デザインを楽しんでいますか?』 スピーカー:戸恒浩人さん 開催場所:オンライン   コロナ禍で世界を取り巻く環境が変わり、LEDの進化がほぼ終わった感がある昨今、来店された皆さんに色々話を聞きいてみたいとのことで、戸恒さんから4つの質問が提示されました。   1)Webが中心になってしまったコミュニケーション。どのようにコミュケーションを活性化していますか。 2)照明デザインのマンネリ化をどのように解消していますか。 3)コロナ後の照明デザインの活躍の場、照明デザインに期待されることは何だと思いますか。 4)後継者不足解消問題。しっかりフィーを獲得できる業界にならないと後継者は途絶えてしまう。もっとフィーを獲得する為にしなければならない努力は何だと思いますか。   コミュケーションの活性化については、Webをうまく活用している会員、得意でない会員の意見もありました。Webでのプレゼンは言葉が重要という話が出ました。 4つ質問が提示されたものの、話題はいろいろなところに飛び最後は惜しくも時間切れとなり、すべての質問まで議論できずに終わりとなってしまいました。来店者からはもっと話したいという意見が出ていましたので、戸恒さんに改めてInabarにお越し頂き続きを開催したいと思っています。その際は今回来店されなかった人、是非来店頂き議論しましょう。続きは機会を見てご案内します。 InaBar店主:稲葉裕   […]

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2022.06.17

第9回 IALD Japan Webinar 「舞台・建築、同じ照明だけど、どこが同じでどこが違う?」

舞台照明と建築照明はともに光を扱う仕事ですが、どのような共通点、相違点があるのでしょうか。2022年6月17日のWEBINARは、その答えを見つけるべく開催されました。モデレーターは山下裕子氏(Y2 LIGHTING DESIGN)と馬場美次氏(馬場美次デザイン室)。ゲストは舞台照明を主に手がけている伊東啓一氏(エム・ジー・エス)、柳瀬敏実氏(東京舞台照明ホールディングス)のお二人です。 モデレーターが自身とゲストについて簡単な紹介を行った後、伊東氏と柳瀬氏に、それぞれの事例について解説していただきました。 伊東氏が率いる株式会社エム・ジー・エスは、コンサートやファッションショー、美術展、イベントなどの照明オペレーションから建築物のライトアップまで、幅広い光のデザインや照明シーンを創り続けています。 代々木第二体育館で行われたYOHJI YAMAMOTOのファッションショーでは、仮設照明としてピンスポットを20台だけ使用し、シーンごとに手動で色を変えて全体的な照明効果を生み出しました。 東京都現代美術館で開催された石岡瑛子氏の展覧会では、入り口付近を深みのある赤色で染め上げた様子や、三島由紀夫の「金閣寺」の映画に登場する、真っ二つに割れた金閣寺を再現したセットにハレーションライトを当てて輝かせた事例が紹介されました。石岡瑛子氏デザインの衣装を纏ったパフォーマーの映像が壁面に大きく投影された空間では、その映像と同じ衣装を纏ったトルソーも一緒に展示されており、映像の光量とトルソーを照らす配光が絶妙なバランスに保たれることで「トルソーが映像から出てきた」と感じられるライティングを実現するなど、デリケートな照明技法が見られました。 「野村家三代狂言」では、東大寺そのものを舞台背景としてライトアップ。堂々たるライトアップシーンから、環境の暗闇を活用してシューティングポイントを狭くすることで東大寺を小さく見せるシーン、さらにピンクやイエローの光を用いた華やかなシーンなど、多彩な光景が生み出されていました。 柳瀬氏が率いる株式会社東京舞台照明ホールディングスは、日本の舞台照明のルーツのひとつであり、演劇やコンサート、展示会やテーマパークなどの照明に加えて、器材の販売やレンタルも行っています。 柳瀬氏はまず、オペラとコンサートの事例を紹介してくださいました。オペラでは舞台前のフットライトとLEDスポットをメインに、ムービングライトを1台用いて、シーンに沿った空間を創出していました。事例として紹介されたコンサートでは、ステージ上の円形パネルの背景セットに、楽曲に合わせて地球や月を投影。映像は照明側で用意し、球体に見えるようにテクニックを駆使するなど、さまざまな技法でステージライティング全体をコントロールしたそうです。 フィギュアスケートのショーでは、器材の湿気対策や、短時間で各スケーターの動きを把握して演出を組み上げなければならない等、特殊な環境下で行われる舞台照明の事例をご紹介いただきました。 大規模なスタジアムでの事例も。東京ドームで開催されるイベントは舞台・セットともに極めて大きいため、仮設照明に相当量の仕込みを必要とし、多くのポジション(演出、ステージ、音響、運営 etc…)の調整が必要となります。2013年の国体の開会式・閉会式でも、350台ものムービングをすべて有線で仕込み、調光卓も2卓用いて制御したそうです。 また、建築照明寄りの事例として、熱海にあるMOA美術館のエスカレーターのライトアップや、イベントと連動した名古屋のテレビ塔ライトアップ、武道館ライトアップの内容も紹介されました。 その後はディスカッションに移り、舞台照明と建築照明の違いを改めて議論しましたが、つまるところ、どの照明でも「常設か仮設かで大きな違いが生じる」という話に。 照明を仮設で設置することが多い舞台照明では、置きたい場所に器材を設置し、自由に変更できるなど、制約が少ないことが特徴です。一方、照明器具を常設することが多い建築照明は、設計後は変更が難しく、動線上に設置できない、耐久性を求められるなど、あらゆる要素を考慮しなければなりません。 光で感動を生み出すという点では同じですが、舞台での感動は短時間で強烈に与えられるものであり、建築照明がもたらす空間体験の感動は何年もじわりと続いていくもの、という違いがあります。 理想とする光を創り上げるまでのプロセスに異なる部分が多々あり、馬場氏からは「極端に言えば“対象物に光を当てる”以外の共通点はないのでは?」というコメントもありました。 しかし近年、サッカースタジアムにてピッチを照らすスタジアム照明が水銀灯からLED照明に変わり、音楽に合わせてテンポ良く明滅する演出が可能になるなど、舞台照明と建築照明の融合を感じる瞬間も増えてきました。 […]

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2022.03.24

Chase the Dark 2022

2022年度の「Chase the Dark」は一昨年、昨年と、日本ではCOVID-19パンデミックの緊急事態宣言は解除されたものの、国内の特定地域において蔓延防止措置が取られる中での実施となりました。「Chase the Dark」イベントはオーストラリアから西廻りで世界都市のサンセットの時刻に、その年のテーマに沿って撮った光の写真や短い動画をInstagramにアップしていき、世界を光で繋ぐという企画です。パンデミック以前は、世界各地のIALD関係者が各国内でオフラインイベントが行われ、その様子をSNSを通じて窺い知ることができました。しかし、昨年は各々の国内であってもオフラインイベントができず、イベントの国内開催方法もオンラインへと移行していきました。今年は、日本国内においてもIALD Japan事務局内にて、感染予防措置に十分に配慮し人数を制限して開催、また会場参加できない参加者はオンライン参加で、イベントを開催しました。 2022年のテーマは ‘Only use light where you need it’ でUVライトやフラッシュライトに反応する媒体を利用して、非日常の光を各国のIALD関係者が思い思いに発信しました。日本からは、UVトナーで作られたブラックライトで光る蛍光折り紙で折り鶴を作ったり、100円ショップでも購入できるパーティー用の光る腕輪を壁に装飾したり、ジェルネイルで発光するネイルの写真など、暗闇を楽しむグッズが沢山あることを再認識しました。そして、ブラックライトで光る飲料水と共に暗闇に浮かぶ幻想的な乾杯をしました。英国ではノーマスクでオフラインイベントが開催され、ブラックライトで光る蛍光ペンで描かれた絵画の写真がアップされました。メキシコからは空間の中でDJが奏でるリズミカルなサウンドがブラックライトと同調する動画がアップされていました。早くも脱COVID-19の日常を回復している姿を、アップされた写真から窺い知ることができ、来年こそは日本でもリアルイベントを開催したいと思いました。 IALDはグローバルな組織団体で、世界各地の支部の交流はオンライン・オフライン共に活発に実施されてきました。COVID-19はそんな日常に影を落としましたが、一方で照明デザイナー集団らしく、それはそれでいかに「光」で世界を繋げるか創意工夫をしてコミュニケーションを育む組織であることを改めて実感しました。現在では、一部の国ではマスク着用の義務化が廃止され、マスク無しの人々の表情に向き合える状況になっています。日本も近い将来、そんな状況に回復できるよう期待しつつ、これからも光が国境を越えるように、海外のメンバーとのコミュニケーションを継続していきたいと感じました。(小西 美穂)

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2022.03.4

第8回 IALD Japan Webinar「がんばれ!住宅照明」

照明デザインの業界でもあまりテーマとして語られることの少ない「住宅照明」について、照明デザイナーはどのように考えているのか? それを明らかにするべく、2022年3月4日のWEBINARは「がんばれ! 住宅照明」をテーマに、菅原千稲氏(フィラメント)がモデレーターを務め、パネリストに小山憲太郎氏(コヤマケンタロウデザイン事務所)、岡本賢氏(Ripple design)、福多佳子氏(中島龍興照明デザイン研究所)をお招きして開催しました。       まずは各々の住宅照明の取り組みや事例について軽くお話しいただいた後、事前に実施したアンケート結果を発表。ほとんどの照明デザイナーは住宅照明を手がけた経験があること、主に設計事務所経由の依頼であること、ただ、住宅照明の割合は請け負っている照明デザイン業務全体の10%程度と回答した人が最も多く、その比率が低いこともわかりました。 さらに、住宅照明を手がけることについては「住宅照明は重要だが、ビジネスとしては割に合わない」という回答が最も多い結果に。 ここで、アンケートに長文の回答を書かれた松本浩作氏(有限会社スタイルマテック)にも登場してもらいました。 松本氏は「施主の明るさ感覚や生活スタイルなどを把握して設計する必要がある」という“大きな手間”と、「完成まで約1年かかるが、報酬は50万円が限界」という“利益が出ないビジネス”の実情を明かしました。 ネガティブな意見が多い一方で、最も身近な照明であることから、その重要性は認識されています。福多氏は照明効果を理解してもらう難しさに触れつつも「住宅だけがまだ一室一灯照明であり、啓蒙を続けるべき」、小山氏も「住宅に明かりが灯ることで、街の明かりになる」と、夜間景観を含めた明かりに言及。岡本氏は「照明デザインを依頼する施主は熱心に勉強しているため、期待に応えたいという気持ちになる」と語りました。 次の議題は、住宅照明における失敗について。 アンケート結果を分析したところ、技術面の失敗、設計事務所とのコミュニケーションの失敗、施主とのコミュニケーションの失敗の3つに大別できることがわかりました。 パネリストからも、明るさの感覚は年齢による変化があり、それに伴って必要な照明も変わっていく等の課題が次々と挙がり、住宅ならではの難しさが浮き彫りになりました。 これらに対しては、住人が自分でランプを選んで替えられる口金タイプの照明器具にする、調光可能な照明にするなど、長期的な視点での提案がカギになるようです。   さらに、アンケートで印象深い回答があった角田尚法氏(maxview 一級建築士事務所)と東海林弘晴氏(LIGHTDESIGN INC.)からも直接ご意見をいただきました。 角田氏は、設計事務所に「照明の意図」を確実に伝えることの重要性を強調。施主の希望やコストの都合で壁紙や照明器具が変更され、意図していた照明効果が出ないという事態を防ぐため、被照射面の効果や輝度などを詳しく説明し、理解してもらえるよう心がけているとのことでした。 東海林氏は、施主にこちらの思いやアイデアを押し付けてしまうリスクを感じ、「照明デザイナーの役割は一般の人々が照明の効果を知り、それを自分で実現できるようレシピを伝えることだ」という考えに至ったそうです。 […]

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2022.03.1

第36~38回 コミュニケーションバー InaBar レポート

「InaBar」はIALD Japan事務所のバーコーナーで行われるユニークな「トーク&バー」。店主である稲葉さんより話題提供者が適宜指名され、基本毎月第一火曜日(祝祭日、GW、8月は除く)にハイクラスな照明の話題とワインを楽しんでいただけます。条件はマイグラスの持参。ソフトドリンクも多種ご用意しておりますのでワインを飲めない方も是非ご来店ください。 ※現在は、コロナ禍の影響でオンライン開催が続いております。   2021.12.7 第36回 『みなさんは施工会社の適正見積価格の判断ってどうしてますか?』 スピーカー:菅原千稲さん 開催場所:オンライン 今回は、話題の提供というよりも菅原さんが来店者に聞いてみたい。ということで始まりました。製作台数の違いによるコスト+流通する会社の数によるコストなどの条件で判断するのでは?といった感じで、特に結論が出る訳ではなく話は進んでいきました。 後半は皆さんの昔話で盛り上がりました。 オミクロン株も市中感染が発表され、また、冬らしく寒くなってきました。 皆様、体調に気を付け、良い年をお迎えください。 InaBar店主:稲葉裕   2022.02.01 第37回 『大袈裟ですが、私が世界を知った瞬間x3』 スピーカー:近田玲子さん 開催場所:オンライン 今回のテーマの中のx3は何を意味していたのか・・・。 近田さんが2001年に運用前のアルマ望遠鏡施設見学に行った時の話で、画像と共に展開していきました。 […]

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