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イベントレポート
2024.08.26
第2回ライトトークサロン「照明デザインとシミュレーション~シミュレーションソフトの話を聞いてみよう!~」
IALD Japan主催の第2回ライトトークサロンが2024年8月26日に開催されました。
今回は「シミュレーションソフトの話を聞いてみよう!」というテーマで、DIALux evo・REALAPS・Twinmotion・Enscape・Lightnign Flowといった照明シミュレーションソフトやそれに関連するソフトの開発・販売等に携わる企業の方々にご講演いただきました。
照明シミュレーションソフトDIALux evoについてご説明いただいたのは、ソフトを開発したDIAL社のパートナー企業の株式会社遠藤照明さんです。「DIALux evoは、無料ソフトで、イメージとしてはパソコンで建築の3D模型を作り、照明器具の配光データを入れて光の効果を検証するという感じで使用するものです。そして最大のメリットはDIAL社と契約している照明器具メーカーなら、世界中のどのメーカーの照明器具・配光データでも入れて検証できることです」と、実際に照明器具を入れて作成された3Dモデルを紹介されました。屋外からの視点やフロアごと部屋ごとの視点など、いろいろと視点を変えて光の効果を検証できるのが特徴で、このソフトを活用すれば光の計画内容がビジュアルでわかるため、施主とプランナーが照明に対する要望や不安要素を共有しやすくなります。
TwinmotionとEnscapeはCADやBIM等のソフトで使用するプラグインでTwinmotionについて、販売代理店の株式会社Tooさんは「スピード感を重視していて、いろんなツールに対応しているのが特徴です」とし、「最近トレンドの人感センサーといった動きのあるシーンで一番表現力があります」というお話もされました。開発元であるEpicのアカウントを作り、制作したシーンをクラウドに保存すれば、施主もWebブラウザ上でそのシーンを体験できるのは大きな魅力です。
Enscaoeについて、ソフトの代理店の株式会社STUDIO55さんは「IESデータの活用が可能で、レンダリングのスピードが速いのが特徴です」と解説されました。一方で「マテリアルの反射の表現は苦手かな」というお声も。ただ、レンダリングソフトの中では珍しく照明ビューの設定ができるので、「空間のどこが明るいかを視覚的につかむためのツールとして活用してもらえれば」とのことでした。
株式会社ビジュアル・テクノロジー研究所さんは、提供されているREALAPSについて「照明のシミュレーション値を輝度・色度分布に変換して、実際の光の見え方と比較することができるソフトです。照明デザインで最初に考慮するのは照度ですが、光の見え方を検証するためには輝度を把握する必要があります」と解説。さらに周辺の色によって「順応」という現象が起き、見え方は変化するため、「それも考慮して明るさを推定しなければいけないのです」と述べられました。シミュレーションしたりVRで見たりした光は何となくそれを正しいと感じてしまうため、輝度・色度分布等で本当の見え方を確認するという方法は新鮮で、光の見え方の再考にもつながりました。
最後のパナソニック株式会社さんは、Lightning Flowについて「BIMや3DCADのソフトで作成した建築・照明データを瞬時に取り込み、光の効果を確認できるソフトです」と解説し、最大の特徴としてスピードと精度を挙げられました。それは「従来の照明シミュレーションの課題とされていた光の再現の計算時間を大幅に短縮し、かつ国際照明委員会が推奨する精度基準に準拠した高精度なものです」と語られました。そのスピード感を示す検証データによると、一般的によく使用されるソフトでは45秒かかる光の計算が1秒で終わるということ。光環境の確認が速くできれば、その分照明の位置変更等の多くの試行が可能になるので、自分たちの理想とする建築空間により近づけるのではと期待が持てました。
そして、最近手がけられているスタジアム等の光演出といったDMXサポートにも触れ、Lightning FlowDMX対応の照明器具をつないで、その実演をしていただき、第2回ライトトークサロンの講演は終了しました。
講演終了後には会場の方とZOOMでの視聴者から続々と質問が寄せられ、企業の方のご回答にみなさん熱心に聞き入っていました。
【開催日】2024年8月26日
【会場】MY Shokudo Hall & Kitchen (TOKYO TORCH 常盤橋タワー)
【登壇企業 (登壇順)】
株式会社 遠藤照明、株式会社Too、株式会社STUDIO55、
株式会社 ビジュアル・テクノロジー研究所、パナソニック株式会社
【主催】 IALD Japan