Activity
イベントレポート
2024.06.12
第1回 コンプライアンス研修会
IALD Japan主催のコンプライアンス研修が、大井町きゅりあんで2024年6月12日に開催されました。
講師には弁護士の齋藤圭太先生をお招きして、「近時のハラスメント事情と対策」というテーマでお話しいただきました。
齋藤弁護士はまず、「一般的にハラスメントとは行為者の意図を問わず、他人に不快感や不利益を与えたり、尊厳を傷つけたりする言動や態度」と説明し、ハラスメントを行った人が「そんなつもりはなかった」というのは通じませんと話されました。
そして指摘されたのは、近時ハラスメントとして認識される言動や態度は増加傾向にあることです。ジャンルごとにパワハラやセクハラ、エイジハラスメント、ジェンダーハラスメント等を簡単にご紹介、「本日はパワハラとセクハラを中心にお話しします」と前置きされました。
最初に、セクハラについて。
厚生労働省によるセクハラの定義は、「職場において行われ、労働者の意に反する性的な言動により、労働者が不利益等を受けること」と説明し、勤務時間外の飲み会での言動も、その飲み会が職務の延長と考えられればセクハラに当たりうることや、性別に関係なく行為者・被害者になりうること等を話されました。
そして、セクハラに当たるかの判断基準について「受け手の主観を重視しつつ一定の客観性が必要で、平均的な男性または女性労働者の感じ方を基準にする」と解説し、食事などへの執拗な誘いや、パソコンで卑猥な画像を見るといった行為はセクハラになり得ますと述べられました。
続いて、パワハラについてです。
パワハラとは「職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為」で、その「優位性」について、上司から部下への行為だけでなく、同僚間や部下から上司に対する行為もパワハラになり得るとして、
「業務の適正な範囲」に関して、単純ミスを繰り返す病院職員に対する厳しい指導がパワハラになるか問われた裁判で、「生命をあずかる医療現場でのその行為は当然になすべき業務上の指示の範囲内のものでパワハラに当たらない」とした裁判所の判断を事例として挙げられました。
その後、妊娠・出産等を理由に解雇等の不利益な取り扱いをするマタニティハラスメント、カスタマーハラスメント、ハラスメント・ハラスメントについても軽く触れられました。
カスタマーハラスメントの解説では、顧客からクレーム等を受けた場合、その要求の根拠や事実関係、こちらに落ち度がなかったかを確認することが大事であること。
カスハラか否かは、要求を実現する手段・態様が、今の社会の考え方を基準にして許されるかどうかで判断されるなどと解説されました。
ハラスメント・ハラスメントとは、「業務指示など正当な行為に対してハラスメントと主張する行為」と説明し、ハラ・ハラを放置すると上司が部下に注意しにくくなるため、仕事の質が下がったり職場の雰囲気が悪くなったりしますと指摘もありました。
そして、「ハラスメントに対して会社は何をすべきか」という話に移り、
令和2年の法改正でパワハラ、セクハラ等に対して防止措置を講じることが義務化された点を解説。
次に会社の重要な対応として、「ホームページや就業規則等でハラスメントに対する会社の考え・姿勢を示す」、「相談窓口の設置と周知」、「ハラスメントがあれば迅速かつ適切に対応する」等をあげられました。
また、ハラスメントを受けた場合の対応について厚労省の指針をもとに、「ハラスメントと思われる行為をメモや録音などで記録する」、「同僚や上司、人事担当者に相談する」、「会社で相談できないときは労働基準監督署など外部の相談窓口で相談する」こと等が重要ですと述べられました。
最後に、ハラスメントは我慢したり無視したりすると悪化させる可能性もありますので、大切なのは「やめてください」と伝えることですと話されて講義は終了。
その後の質疑応答では活発な質問が時間ギリギリまで出ていました。
懇親会でも普段はなかなか聞けないことなどを、直接弁護士の方にお聞きできる貴重な機会となりました。
この研修は全部で3回ほど行う予定です。
次回は今回のアンケートを元にテーマを選び、開催の予定です。
会員の方は是非ご参加いただけると幸いです。
【日時】2024年6月12日(水) 講義+質疑応答 18:30-20:00 懇親会 20:00~20:40
【会場】大井町 きゅりあん
【主催】一般社団法人 日本国際照明デザイナーズ協会