ENLIGHTEN ASIA 2021 in japan

All About Lighting Fixtures

3章からなるプログラムで構成されるこのセッションでは、Pre-Eventとして事前配信された7つのビデオのエッセンスをレビューしながら各拠点をつないでコメントを重ね、照明デザインの立場から照明産業の今日と明日を探るスペシャルイベントを展開しました。

 

第1章「NEW TECH(明日の新しい技術を探る)」では、まず、DC48Vの照明システムがヨーロッパを中心に急速に主流になりつつある現状を受けて、その安全性やコンパクト性、コスト削減、世界中どこでも使える点などをわかりやすく解説。

 

続いて、スペクトル由来照明について、現状舞台で使用されている照明機器は光源色の多様性やコントロールの柔軟性において建築照明より進化している。照明デザイナーと色彩デザイナーが建築照明も同じように進化している未来を見据え、実演を交え建築照明の未来を議論しました。

 

第2章「NEW STYLE(新しい立役者を紹介する)」では、「NEW FACE」として、ビューリー・薫・ジェームス氏のプリミティブな炎という光源にこだわった「Chouchin Candle」と、河野未彩氏のLEDを搭載した、影の色をデザインする「RGB_Light」をピックアップ。

 

続いて、「ANOTHER WORLD」として、照明デザイナーの武石正宣氏と早川亜紀氏が「SAMBA-M」や「JBL Pulse 4」、「Dyson Lightcycle Morph™ ライト」といったユニークなプロダクトを紹介。それぞれのプロダクトのデザインやそれを実現させている技術について語りました。

 

第3章「BACK TO THE FUTURE(照明の過去に学び未来を考える)」では、3つの動画を紹介。まず、「どこでもライト !!」と題して、南部鉄器の手持ち燭台や小田原提灯から、インゴ・マウラーがデザインしたさまざまなポータブルライト、「Ambientec」のポータブルライトといった最新のものまで、持ち運べる明かり「ポータブルライトの過去~現在」を解説しました。テクノロジーは進化するけれども、それに対して人にとって何が必要なのかを考えるべきで、それが専門家の仕事だと締めくくっています。

 

次に「CUSTOM:The 特注器具」と題して、シャンデリアを手がける「Ricardo Lighting」、京和傘の伝統技術を生かした照明器具を開発する「日吉屋」、作る側も使う側も何十年と飽きないものを目指す「柿下木材工業所」、柔らかさを残したガラスの形状が特徴的な「猿江ガラス」、紀州漆器産地4社が協同し立ち上げた漆器ブランド「KISHU+」のこだわりを、作り手自身が紹介しました。

 

最後に、照明デザイナーの永島和弘氏・小西美穂氏・八木弘樹氏の3名が旅人に扮して、「全地球環境的照明器具SDGs in EDO」と題し、静岡市清水区にある「由比宿 東海道 あかりの博物館」を訪問。江戸時代から明治・大正、現在までの照明器具を体験しました。小西氏は、スイッチではなく、手元で調節するなど自分の欲しい光を能動的にコントロールできること、鎖国でモノが入らない江戸時代にリユース、リペア、リサイクルをする生活サイクルを作っていたことを、現代でもう一度伝えるべきこととして挙げていました。

 

時代は変われど人と光との関係というのはずっと続いていくものであり、新しい関係をその時代時代で作っていくのが照明だと司会の2人が述べ、7つのビデオを通して照明器具・照明産業に新しい未来を感じられたと締めくくりました。