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【EL18】LIGHT+IMAGE+CITY SCAPE=EXPERIENCE

様々な技術や手法を用いて多種多様なアートインスタレーションなどで知られているライゾマティクス代表取締役の齋藤精一氏が、これまでの事例を紹介しつつ、いま自身が思う光の可能性について語りました。

1990年代後半、ニューヨークのコロンビア大学大学院で建築を学んでいた当時、実際に建てられた箱物の建築よりも、哲学的な前衛プロジェクトに興味を持っていた齋藤氏。卒業後は、コロンビア大学で教えたりしていたましたが、9.11同時多発テロを期に、建築を離れ広告代理店で働き始めるなどして、よりアーティスト的な活動をするようになりました。
そして、2006年、ライゾマティックを設立。現在、リサーチ、デザイン、建築の3部門があり、所員は40人程度で、その中には多くのアーティストが所属しています。

作品としては、プロジェクションマッピングを使ったアイドルグループのステージ演出などがよく知られていますが、リサーチ部門の行う、より実験的なプロジェクトもあります。メジャーな例では、1989年鈴鹿サーキットでアイルトン・セナが樹立したF1世界最速ラップを光と音でデジタル再現したSound of Honda / Ayrton Senna 1989プロジェクトで、サーキット場に設置された全長6kmにおよぶLED照明アートのデザインとプログラミングを担当しました。
そのほか、都市、建築、メディアを扱ったプロジェクトとしては、きゃりーぱみゅぱみゅが出演した2013年の増上寺プロジェクションマッピングのイベントなどが挙げられます。このイベントは、のちにau(携帯電話)のコマーシャルとして放映され、大々的に知られることになりました。

“FULL CONTROL TOKYO” Event by au 2013

“日田の山と川と光と音” 2018

“House of Mamba / LED basketball court by NIKE 2015

最近では、政府やディベロッパーとの交渉が絡む都市のプロジェクトにも力を入れており、そのプロジェクトを通して、アーティストが活躍できる環境作りに寄与していきたいと齋藤氏は考えています。その試みの一例が、新宿御苑で行われたGyoen Night Art Walkで、通常は開いていない夜間の新宿御苑で、1時間30分におよぶレーザーやムービングライト・LED照明など様々な照明を使ったインストレーションを体験展示し、都市における夜の新たな体験の形を提案しました。

齋藤氏のキャリアが始まった2000年頃は、照明デザインは、単なる照明のデザインにすぎませんでした。それから約20年の歳月が流れ、LED、CGI、IOT、AIなどの進化とともに、セキュリティーシステム、都市のインフラ、そして都市そのものが照明デザインの対象となった、と齋藤氏は言います。
今、人は、体験(Experience)に飢えている。光、イメージ、都市を使って体験をデザインすること。それが齋藤氏とライゾマティクスの今の活動の目的となっています。


【日時】2019年03月07日 15:30-16:30
【会場】東京ビッグサイト 会議棟1階 102会議室
【プレゼンテーション】齋藤 精一氏(ライゾマティックス 代表取締役)
【モデレーター】目黒 朋美氏(トモルデザイン・メグロ 代表取締役)
【主催】日本国際照明デザイナーズ協会、日本照明工業会、日本経済新聞

Profile

齋藤精一

建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からNYで活動を開始。2006年にライゾマティクスを設立。2018年グッドデザイン賞審査委員副委員長。2020年ドバイ万博日本館クリエイティブアドバイザー。

目黒朋美

都市空間や建築、インテリア等の照明デザインを手がける。内原智史デザイン事務所を経て2016年独立。米国の照明デザイン事務所での経験も活かし様々なプロジェクトに取り組んでいる。多摩美術大学卒業。