全米に7つのオフィスを構える米国の大手照明デザイン事務所HLBのマーケティング担当のプリンシパルのバーバラ・ホートン氏とキャリー・ハウリー氏が、照明デザイン事務所のためのマーケティングを紹介しました。
7名のマーケケティング専門のスタッフを持ち、様々なマーケティング用コンテンツの作成にも対応する、HLBのマーケティングは、Enlighten、 Engage、 Educateの3つのキーワードのもとにまとめられると言います。
Enlightenには、ブランド、ウェブ、名刺、パンフレット、SNS等が含まれます。HLBでは、これまで5回ロゴを変更しており、最新のロゴはSNSに対応したアイコン型となっています。ロゴに関しては、どのような媒体でも常に一貫性のある形で取り扱われなければならないとホートン氏は言います。名刺に関しては、「印象に残るデザイン」にすることが重要で、パンフレット等の紙媒体に関しては、テンプレートを準備し、効率的に更新ができるようすることを推奨しています。ウェブサイトも同様で、更新しやすい設定にしておくということ、文字情報と画像情報のバランスをよく考える必要があります。特に最近のトレンドとしては、動画などの画像情報を多く取り入れるのが主流になってきており、SNSに関しても、常に更新し、適切なターゲットに対し情報発信し続けることが重要です。
Engageは、「計画」、「戦略」、「実行」の3段階で行われ、「計画」のフェーズでは、地理的優位性や売り上げ予測の検証および市場調査等を行い、事前情報の収集を行います。「戦略」のフェーズでは、SWAT分析、トレンド分析、デューデリジェンス等を行い、「実行」のフェーズでは、様々な媒体でマーケティングキャンペーンを行います。対象を絞ってキャンペーンを行う場合は、通常25社程度まで絞り込み、その対象に最適のコンテンツを準備します。
Educateは、業界団体やその他の様々のコミュニティーに参加し、人的ネットワークを広げていくことを意味します。この種の活動にはキャリアや役職は関係なく、平社員から役員まであらゆるレベルでの人的交流が推奨されます。このようにいくつもの階層で接点を作り、1つの接点が壊れたとしても全体として強固な関係性を維持していくことをZipper Effect(ジッパー効果)と言い、若いうちから、ネットワークを構築していくことが重要だと両氏は言います。
そして最後に、「マーケティングには、始まりがあって、途中があるが、決して終わることのないものだ」という認識の重要性が指摘されました。
【日時】2019年03月07日 10:00-11:00
【会場】東京ビッグサイト 会議棟1階 101会議室
【プレゼンテーション】バーバラ・ホートン氏(HLBライティングデザイン シニアプリンシパル)、キャリー・ハウリー氏(HLBライティングデザインボストンオフィス シニアプリンシパル)
【主催】日本国際照明デザイナーズ協会、日本照明工業会、日本経済新聞
Profile
Barbara Horton
HLB Lighting DesignのシニアプリンシパルであるHorton氏は、成長と収益性を促すための高い意欲、好奇心、モチベーションに特徴づけられる文化の創造に重点を置きながら、同社が育んできた精神を守っています。また、生活の質と仕事のバランスに留意し、照明業界をリードする存在です。戦略的マーケティングの取組みを主導するプリンシパルの一人で、全社のマーケティング担当チームと緊密に連携し、社内外におけるコミュニケーションのための戦略とメソッドを開発しています。2014-2016年にIALDの会長を務め、2017年には照明デザイナー認証(Certified Lighting Designer:CLD)を取得しています。
Carrie Hawley
HLBボストン(HLB lighting Design’s Boston office)の創立者・シニアプリンシパルとして、Hawley氏は照明分野で20年以上に渡る豊富な経験を積んでいます。建築照明デザインにおける精力的なリーダーであり、同氏が手掛けたプロジェクトは国内外の数々の照明デザイン賞を受賞しています。HLB Lightingでマーケティングと事業開発を担うプリンシパルの一人です。最近では、WELL認証(Well Building)セミナーのほか、米国におけるサステナブルなライティング・トレンドに関する一連のオンラインセミナーを開催しています。IALDの専門メンバーであり、IALD Enlighten America and Europeで講演を行っているほか、数年前までDLF New Englandの会長を務めていました。