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【EL07】照明デザイン業界をゼロから育てる方法:トルコの実例から

トルコで照明デザインがどのように発展してきたのか。「Professional Lighting Design」誌トルコ版(以下、「PLD Turkey」)の編集者である、エムル・ギュネス氏自身の経歴紹介を通して語られました。

ギュネス氏は、自身のことを「照明デザインのサポーター」と呼び、「優れた照明デザインは偶然起こるのではなく、デザインされるものだ」という強い信念のもとトルコにおける照明デザインの広告塔として、様々な肩書きで照明デザインの普及活動を20年近く行ってきました。トルコ初の照明デザインに特化した雑誌「PLD Turkey」(2005年創刊)を立ち上げ、その編集局長を14年間務めてきただけでなく、イノベーティブなテクノロジーを紹介するAgustos Teknolojiという団体の共同設立者、さらにLIGMANという照明器具メーカーのトルコにおける事業開発リーダーなど、その活動領域は多岐に渡ります。

これら全ての活動を照明デザイン普及のためのプラットフォームとして捉え、これまで20以上のイベントを企画・運営してきたギュネス氏が仕掛けた初期のイベントは、トルコの照明デザイナーズ協会の設立を目的としたワークショップでした。当時、ギュネス氏は、イベントの企画・運営など行ったことがなく、全てが初めての経験で「やりながら学んでいった」と言います。また、行政(イスタンブール市)の方でも照明デザインに関する関心が高まり、ギュネス氏の企画するイベントに対する行政の協力や後押しが得られる幸運にも恵まれ、スポンサーや会場の確保が楽になったと言います。
様々な活動をしていく中で、好景気の影響もあり、イスタンブールでも照明デザインに特化したデザイン事務所が設立され始めました。それに目をつけたギュネス氏は、トルコの有名大学(6〜7校)をデザイン事務所のデザイナーと一緒にまわり、大学生と交流するツアーを企画、実行します。ツアーに参加した多くの学生が照明デザインに興味を持ち、照明デザイナーを目指すようになったとギュネス氏は言います。

また、「ゲリラ・ライティング・イスタンブール」というイベントでは、数百人規模の参加者が、自分たちが持ってきた照明器具使って、都市の公共空間に次々と照明を当てて回るというゲリラ的な活動を展開し、照明デザインの価値をストリートレベルで発信することができました。

今後の目標としては、小学生を中心に照明デザインを紹介し、自身がゼロから始めた照明デザインの普及・啓発活動を次世代に繋げていきたいと結びました。

【日時】2019年03月06日 15:30-16:30
【会場】東京ビッグサイト 会議棟1階 101会議室
【プレゼンテーション】エムル・ギュネス氏(PLDトルコマガジン編集局長)
【主催】日本国際照明デザイナーズ協会、日本照明工業会、日本経済新聞

Profile

Emre Gunes

インダストリアルエンジニアだったが、照明デザインに魅了される。2005年、偶然が重なり、トルコで唯一の建築照明デザイン雑誌を発刊。以来、照明デザインに関する文献調査、文章の執筆、学習、研究、イベント企画等を行い、照明デザインの普及・発展に尽力している。